ショクパンヨリフランスパン

演劇以外の日々の、備忘録

いわきのことと その3

だいぶ間隔が空いてしまった。自分の性格的に長続きするわけないだろうとは思ってたけど、こんなにも続かないとは。

「魔法」を一緒につくったいわき総合の高校生たちは、いまはもう高校生じゃなくなった。本当は彼女たちが高校生のうちにいわきでの日々は書き終えようとおもってたのにマジで自分にはガッカリだ。自分にガッカリするのってガッカリし尽くすことがないですね。

それでもあの頃の続きを書かなくちゃと唐突におもったので、書きます。

 

「魔法」はオムニバス形式の作品なので20人全員が揃う場面はごくわずかだった。せっかくだから20人全員でつくるシーンをいれたいなーと思案してたときに、稽古後、彼女たちがiPhoneをにぎる姿が目に入ってきた。彼女たちがiPhoneをにぎる姿と魔法使いが杖をにぎる姿が重なった。

「光」というシークエンスは、彼女たちそれぞれが短いセリフを繰り返しながら、iPhoneの光を灯していく。20個のか細い光の固まりが、はるか遠くを照らせたらいいなとおもいながら作った。

稽古の後半は体育館で行われた。もう一年以上も前なのに、そのときの景色とか質感はいまだにしっかりと残ってる。(というのはきっと半分嘘で、ほんとはいろんなことを忘れてしまってるんだろうけど)

ジメジメと熱気がこもっていく体育館とか、休憩中に彼女たちがうちわで仰ぎあう姿とか、冷えピタ貼りながら笑う姿とか、僕が机を動かすのをせわしなく手伝ってくれる先生たちとか、スタッフとしてきてくれた桃子とノブと久津見くんの背中とか、体育館裏の元ゴルフ部の練習場所で一人で煙草吸ったこととか。夕暮れになると体育館の窓から青春感満載の日差しが差し込んできて、そのエモーショナルに何度もやられそうになった。いちいち青春が迫ってきて、俺こっから抜け出せなくなるんじゃないかとおもった。

 

劇場入り前日、校舎での最後の稽古が終わって一人寂しくしていると、みんなが近寄ってきてくれた。それだけでもジーンとしてるのに、まおが「またきてくださいね」なんて言ってくれるもんだから破裂するかとおもった。というか、このときまで彼女たちが自分との別れを惜しんでくれてるなんておもっていなかった。まおが言ってくれたことに対してなんて返したか思い出せない。ヘラヘラして口ごもったりしてたら最悪だ。どうか「またくるよ」って返せていてほしい。

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